19. 形式主語・無主語¶
本章は、形式主語と無主語文の扱いを定める。
Aemondoは、文を前から追いやすくし、早い段階で文の骨格を把握しやすくすることを重視する。そのため、重い内容節が主語に相当する場合には形式主語 wo を用い、天候・自然現象・話題提示など、意味上の主語を特に立てない方が自然な場合には無主語文を認める 。
19.1 形式主語¶
19.1.1 定義¶
wo は、形式主語である。
これは、後ろに続く内容節や評価対象を受けるために、文の主語位置を形式的に満たす語である 。
19.1.2 基本原則¶
内容節や重い節が意味上の主語となる場合、Aemondoでは原則として wo + 述語 + 内容節 の構文を用いる。
とくに、「〜することは重要だ」「〜ということは明らかだ」「〜することは必要だ」のように、ある内容全体を評価・判断する構文では、wo を用いた形を基本形とする 。
19.1.3 用法¶
wo は、主として ke 節 を受ける。
この構文により、文頭を重い節で始めずに、聞き手・読み手は先に述語の評価部分を把握できるようにする。
基本構造は次のとおりである。
wo + esti系述語 + ke節
19.1.4 不定詞句主語との関係¶
不定詞句は、比較的軽い構造であるため、主語位置にそのまま置くことができる。ただし不定詞句が重い場合にはke節と同じくwo を用いる 。
したがって、本章でいう形式主語は、主として内容節主語に対する規則である。
例文
Aemondo: Wo we estis grava ke vi we venis.
Esperanto: Estis grave, ke vi venis.
日本語: あなたが来たことは重要だった。
例文
Aemondo: Wo we estis bona ke miz we helpus pa li.
Esperanto: Estis bone, ke ni helpis lin.
日本語: 私たちが彼を助けたことはよかった。
例文
Aemondo: Wo we estis klara ke li we pravis.
Esperanto: Estis klare, ke li pravis.
日本語: 彼が正しかったことは明らかだった。
19.2 無主語¶
19.2.1 定義¶
無主語文とは、意味上の主語を特に立てずに述べる文である。
Aemondoでは、天候、自然現象、環境的な現象、および一部の定型的な叙述において、無主語文を認める 。
19.2.2 基本原則¶
無主語文では、文頭に通常の名詞句主語を置かず、そのまま動詞句から始めることができる。
この用法は、自然現象や状況そのものを述べるときに用いる。文法上の空主語を必ず立てる方式は採らない 。
19.2.3 無主語文として用いられる主な場合¶
Aemondoで無主語文として認められる中心的な用法は、次のとおりである。
- 天候・自然現象
- 環境的な現象の叙述
temiによる話題提示
これらは、意味上の主語を特に立てるよりも、出来事や話題そのものを直接述べる方が自然であるためである 。
19.2.4 temi の扱い¶
temi は、「〜についての話である」「話題が〜である」を表す語であり、無主語文として用いるのを基本とする。
この場合の基本構文は、次のとおりである。
temi pri + 名詞句
ここで pri 句が、何についての話題かを示す。
したがって、Temis pri ... は、Aemondoにおける代表的な無主語構文の一つである 。
一方で temi に通常の主語を立てる用法もある。たとえば「その本は歴史についての本だ」「その会議は新しい計画についてのものだ」のように、主語ありで用いることもできる 。
したがって、temi には次の二用法がある。
- 無主語用法:
Temis pri ... - 主語あり用法:
S temis pri ...
ただし、本章では、章題との関係から、無主語用法を中心形として扱う。
例文
Aemondo: Pluvis.
Esperanto: Pluvas.
日本語: 雨が降っている。
例文
Aemondo: We ventis forte.
Esperanto: Forte ventis.
日本語: 強く風が吹いていた。
例文
Aemondo: We temis pri nova plano.
Esperanto: Temis pri la nova plano.
日本語: その話題は新しい計画についてだった。
例文
Aemondo: We temis pri edukado en kunveno.
Esperanto: En la kunveno temis pri edukado.
日本語: 会議では教育が話題だった。
19.3 形式主語と無主語の区別¶
形式主語構文と無主語文は、どちらも通常の名詞句主語を前に立てない点で似ているが、機能は異なる。
- 形式主語構文では、
woが文の主語位置を形式的に支え、その後ろに内容節が続く。 - 無主語文では、そもそも意味上の主語を特に立てず、現象や話題をそのまま述べる。
したがって、wo は「主語がない」ことを示す語ではなく、重い主語内容を後ろに送るための形式的な主語である。一方、Pluvis. や Temis pri ... のような文は、無主語そのものとして扱う。
19.4 運用上の原則¶
Aemondoでは、軽い構造はできるだけ軽く保ち、重い構造は必要に応じて明示する。
この原則に従い、
- 重い内容節主語には
woを用いる。 - 天候・自然現象・話題提示では 無主語文 を用いる。
という役割分担を採る。
これにより、文を前から読んだときの見通しを保ちながら、過度に冗長な構文を避けることができる予定である 。
この章の未確定事項¶
- 無主語文で時制小辞をどこまで明示するかについて。