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9. 動詞不定形の用法

本章は、動詞不定形の統語的用法を定める。
Aemondo では、不定形は動詞の基本形であり、自動詞は -i、他動詞は -u を取る。不定形は単独で有限述語にはならず、主として内容句・名詞的構成・前置詞句・他動詞や助動詞的動詞の後続要素として用いられる。

本章では、特に章立てで指定された次の二点を扱う。
第一に、不定形の名詞的用法である。
第二に、前置詞+不定詞 の構文である。

Aemondoでは、軽い構造は無標識で運用し、必要な箇所のみ明示するという全体方針がある。そのため、不定詞句も、助動詞的に一体化した軽い構造では無標識を基本とし、内容目的語・同格・前置詞支配など、関係を明示したい場合に機能語を用いる。

9.1 名詞的用法

9.1.1 基本原則

不定形は、文中で名詞句に近い働きを担い、主語補語目的語として用いることができる。
このとき、不定詞そのものは依然として動詞性を保つため、必要に応じて目的語や副詞などを従えることができる。
したがって、不定形の名詞的用法とは、動詞が完全に名詞へ転換することではなく、内容を表す句として名詞的位置に立つ用法である。

また、Aemondoでは、形容詞や副詞を先頭に置いて主語相当とする構文は標準文法に含めず、不定詞句は主語位置にそのまま置くことができる。

9.1.2 主語

不定詞句は、文の主語位置に置くことができる。
この場合、不定詞句全体が「〜すること」という内容を表し、後続の述語によって評価・説明される。

例文

Aemondo: Legu pa tiu libro te estis facile.
Esperanto: Legi tiun libron estas facile.
日本語: その本を読むことは簡単だ。

例文

Aemondo: Studu we estis grava.
Esperanto: Studi estis grave.
日本語: 勉強することは重要だった。

例文

Aemondo: Rapide labori we ne estis facila.
Esperanto: Rapide labori ne estis facile.
日本語: 速く働くことは容易ではなかった。

9.1.3 補語

不定詞句は、主語の内容を説明する補語としても用いることができる。
とくに esti とともに用いる場合、不定詞句は「何であるか」「何を意味するか」を表す補語となる。esti は主語補語を無標識で取るため、この位置でも特別な標識は不要である。

例文

Aemondo: Mies deziro te estas studu.
Esperanto: Mia deziro estas studi.
日本語: 私の願いは勉強することです。

例文

Aemondo: Celo we estis atingu pa urbo.
Esperanto: La celo estis atingi la urbon.
日本語: 目的は町に到達することだった。

例文

Aemondo: Most grava te estis helpu pa li.
Esperanto: La plej grava estas helpi lin.
日本語: 最も重要なのは彼を助けることです。

ここで補語位置の不定詞句は、名詞や形容詞の補語と同様に無標識で置かれる。

9.1.4 目的語

不定詞句は、動詞の内容目的語として用いることができる。
目的語には pa が必要になるが、目的語が不定詞の場合、通常は後続不定詞の前に pa を置かない。ただし必要に応じて不定詞句の前に pa を置くことができる。

例文

Aemondo: Shi we komencus skribu pa letero.
Esperanto: Ŝi komencis skribi leteron.
日本語: 彼女は手紙を書くことを始めた。

例文

Aemondo: Miz we diskutus pa konstruu pa nova sistemo.
Esperanto: Ni diskutis konstrui novan sistemon.
日本語: 私たちは新しい仕組みを作ることを議論した。

また学習上または明確化のために、不定詞句を内容目的語として意識的に立てたい場合には、これらの語の後でも pa を置くことがある。

例文

Aemondo: Mi we volus pa iri.
Esperanto: Mi volis iri.
日本語: 私は行くことを望んだ。

Aemondo では、英語の V + O + infinitive に相当する構文は用いない。この場合は ke 節を用いる。

例文

Aemondo: Mi we vidus pa ke li kuri.
Esperanto: Mi vidis lin kuri.
日本語: 私は彼が走るのを見た。

9.1.6 自動詞 + 不定詞 は使わない

Aemondoでは、エスペラントに見られる広い「自動詞 + 不定詞」構文は基本構文としない。 不定詞句が動詞の内容対象となる場合は、原則として他動詞形 -u/-us を用い、pa + 不定詞句 によって示す。 ただし、sukcesi, malsukcesi など、名詞に対しても前置詞を用いる自動詞では、同じ前置詞の後に不定詞句を置くことができる。 助動詞的動詞は例外的に、後続不定詞と一体の述語まとまりを作るため、通常 pa を置かない。

例文

Aemondo: Li we chesus pa paroli.
Esperanto: Li ĉesis paroli.
日本語: 彼は話すのをやめた。

例文

Aemondo: Mi we sukcesis en demetu pa shuoz.
Esperanto: Mi sukcesis demeti la ŝuojn.
日本語: 私は靴を脱ぐことに成功した。

9.1.6 同格は keg

名詞がある内容を受け、その内容を不定詞句で説明する場合、同格関係は keg によって導く。
Aemondoでは、名詞内容節も同格で keg を用いる。不定詞句を内容として添える場合も、同格の明示には keg を用いる。

例文

Aemondo: Ideo keg iri al urbo we estis bona.
Esperanto: La ideo iri al la urbo estis bona.
日本語: 町へ行くという考えはよかった。

例文

Aemondo: Wa Mies plano keg studu plue we restis forta.
Esperanto: Mia plano plu studi restis forta.
日本語: さらに勉強するという私の計画は揺らがなかった。

ここで keg は、不定詞句を単なる目的語や補語としてではなく、先行名詞の内容を説明する同格要素として明示する。

9.2 前置詞+不定詞

9.2.1 基本原則

Aemondoでは、不定詞句は前置詞の後に置くことができる。
エスペラントと異なり前置詞の後に不定詞句を基本置くことができる。

例文

Aemondo: Mi we venis por vidu pa vi.
Esperanto: Mi venis por vidi vin.
日本語: 私はあなたに会うために来た。

例文

Aemondo: Shi we foriris sen salutu.
Esperanto: Ŝi foriris sen saluti.
日本語: 彼女はあいさつせずに去った。

例文

Aemondo: Li fe restis pro atendu pa nova informo.
Esperanto: Li restos por atendi novajn informojn.
日本語: 彼は新しい情報を待つために残るだろう。

9.2.2 意味上の主語の一致

前置詞+不定詞の構文では、その不定詞の意味上の主語は、原則として主節の主語と一致しなければならない。
すなわち、この構文は、主節主語自身の目的・理由・付帯行為などを表す場合に用いる。

例文

Aemondo: Mi we venis por vidu pa vi.
Esperanto: Mi venis por vidi vin.
日本語: 私はあなたに会うために来た。

例文

Aemondo: Shi te sidis sen paroli.
Esperanto: Ŝi sidas sen paroli.
日本語: 彼女は話さずに座っている。

例文

Aemondo: Miz te laboris por finu pa projekto.
Esperanto: Ni laboras por fini la projekton.
日本語: 私たちはその計画を終えるために働いている。

9.2.3 pa は通常入れない

前置詞+不定詞では、通常、前置詞の直後に pa を挿入しない。
したがって、por vidi pa vi は許容されるが、por pa vidi pa vi のような形は通常用いない。

例文

Aemondo: Mi we venis por vidu pa vi.
Esperanto: Mi venis por vidi vin.
日本語: 私はあなたに会うために来た。

例文

Aemondo: Li we iris sen prenu pa sako.
Esperanto: Li iris sen preni la sakon.
日本語: 彼はかばんを持たずに行った。

9.2.4 主語が一致しない場合

前置詞+不定詞の意味上の主語が主節の主語と一致しない場合は、不定詞ではなく有限節を用いる。
この場合、通常は ke 節を用いる。前置詞の内容として節を直接導くときは 前置詞 + ke、動詞の内容目的語として節を置くときは pa ke ... となる。

例文

Aemondo: Mi te atendus por ke vi veni.
Esperanto: Mi atendas por ke vi venu.
日本語: 私はあなたが来るのを待っている。

例文

Aemondo: Li we restis pro ke shi we estis laca.
Esperanto: Li restis ĉar ŝi estis laca.
日本語: 彼は彼女が疲れていたので残った。

例文

Aemondo: Mi we scius pa ke vi we venis.
Esperanto: Mi sciis, ke vi venis.
日本語: 私はあなたが来たことを知っていた。

9.2.5 不可領域

場所・方向・位置関係・到達点・出発点・経路を表す前置詞用法では、不定詞を用いない。
また、dupo などは、前置詞+不定詞を取らない。

したがって、前置詞+不定詞は、すべての前置詞に無制限に適用できるわけではない。
意味が空間関係そのものを表す場合や、機能語的な語では、この構文を作らない。

9.2.5.1 自然度の区分

前置詞+不定詞は、前置詞ごと・用法ごとに自然度の差がある。

学習文法・辞書・例文では、次の3区分を用いる。

  • 推奨 = 自然で中心的に使える
  • = 文法上可能だが慎重に使う
  • 原則不可 = 不定詞を用いない

9.2.5.2 推奨

次の前置詞・用法は、前置詞+不定詞を自然に取りやすく、推奨とする。

  • por = 目的
  • pro = 原因
  • pri = 話題・関連
  • sen = 欠如・否定的付帯
  • anstataux = 代替
  • krom = 除外・追加
  • post = 時間(後)
  • antaux = 時間(前)
  • kontrau = 譲歩・対立

9.2.5.3 可

次の前置詞・用法は、文法上は可能だが、解釈が揺れやすいため とする。

  • per = 手段・方法
  • kun = 同時動作・付帯状況
  • laux = 基準・従属
  • ol = 比較
  • al の抽象的受益用法の一部
  • de の抽象的起点・観点に近い一部用法

9.2.5.4 原則不可

次の前置詞・用法は、不定詞を取らないものとして 原則不可 とする。

  • en
  • sur
  • sub
  • super
  • apud
  • inter
  • malantaux
  • che
  • al の方向用法
  • de の出発点用法
  • tra
  • trans
  • jis
  • du
  • pa
  • po

9.2.5.5 用法別判定

同じ前置詞でも、用法によって判定が異なることがある。

  • antaux

    • 時間用法: 推奨
    • 空間用法: 原則不可
  • al

    • 抽象的受益: 可
    • 方向: 原則不可
  • de

    • 抽象的観点: 可
    • 出発点: 原則不可

9.2.5.6 運用方針

学習文法では、まず 推奨 の前置詞+不定詞を中心に教え、 は上級的・文脈依存の用法として扱う。

原則不可 の領域では、名詞句または有限節を用いる。

9.2.6 曖昧性の回避

前置詞+不定詞で解釈が曖昧になる場合は、有限節を優先する。
Aemondoは、曖昧になりやすい箇所では構造を明示することを重視する。

この章の未確定事項・確認が必要な事項

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